本書『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』の中では、少しでも後悔のない人生を送るために、できる限り心残りを減らすために、やり残していること、人間関係、家族、仕事など4つの項目にわたり、人生を見つめなおすための17の質問を投げかけています。
死を前にして気づくのではなく、まだ健康な今、「自分にとって本当に大切なもの」に気づくために考案したものです。ぜひ、本書をきっかけに今の人生に満足しているか、人の言う通りにいきていないか、幸せな働き方をしているかなどを考えてみてほしいと思います。
他人と比較しない
自分を追い詰めないことで幸せに近づく
誰の人生にも必ず、ドラマがあります。
ある患者さんは子どものころから音楽が好きで、会社員時代にはバンドを組んでいました。
病気になってから過去の写真を見直したところ、ライブで、常に自分がセンターに立ち、格好をつけているのを見て、「自分は、どちらかといえば臆病な生き方をしてきたと思っていたけれど、本当はこんなに楽しそうに生きていたんだな」と、あらためて思ったそうです。
自分自身に起きた出来事はあまりにも身近すぎるため、人はつい「つまらないこと」「当たり前のこと」と思ってしまいがちです。
しかし、よくよく見てみると、取るに足らない人生や平凡な人生など、一つもありません。
世間はどうしても、華々しい活躍をした人ばかりに注目します。
歴史の教科書に名前が残るのも、ごく一部の人だけです。
でも、そのような人たちの人生と、私たち一人ひとりの人生に、価値の違いはありませんし他人の評価と、「本人が自分の人生をどのようにとらえているか」「本人が自分の人生にどれだけ満足しているか」は、まったく関係ありません。
もし今、「自分の人生に良かったことなどない」「自分の人生に価値などない」と思っている人は、「誇らしいと感じたこと」、「ささやかでも達成できたこと」などをできるだけたくさん思い出してみてください。
「子どもの頃に作文を褒められた」とか「まったく料理ができなかったのに、始めてみたら楽しくて、いつのまにかレパートリーが増えていた」とか、どんなことでもかまいません。
自分がやってきたことや自分の人生に「価値がある」と思えること。
それこそが、明日からの人生を輝かせるうえで、大事なことなのです。
(監修/医師 小澤竹俊)
91年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、94年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。
2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに3500人以上を看取ってきた。
医療者や介護士の人材育成のために、2015年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。一人でも多くの人が、生きてきてよかったと思える最期を迎えられるよう、力を尽くしている。著書『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』が25万部のベストセラーとなる。