伊藤忠商事の収益が倍増!?知らないと危ない「会計基準」のカラクリ商社の決算書を読む際の注意点とは? Photo:PIXTA

今回は商社の決算書からそのビジネスモデルの特徴を読み解く。併せて、特に商社の決算書を読むときに気を付けないと危ない「会計上のルール」を確認しておこう。(中京大学国際学部・同大学院研究科教授 矢部謙介)

総合商社と専門商社の
決算書を読み解く

 今回は、総合商社の伊藤忠商事と、医薬品を取り扱う専門商社のメディパルホールディングス(以下、メディパルHD)の決算書を比較してみよう。

 伊藤忠商事は、業界トップクラスの総合商社だ。伊藤忠商事は、三菱商事や三井物産とは違い、出自が非財閥系の総合商社である。最近では、スポーツ用品メーカーのデサントや、ファミリーマートへのTOB(株式公開買付)など、積極的にM&Aを行っていることでも知られる。

 メディパルHDは、2000年に三星堂、クラヤ薬品、東京医薬品が合併したクラヤ三星堂を母体とし、その後数多くのM&Aを繰り返してできた医薬品の専門商社だ。

 今回は、両社の貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を組み合わせて見ることで、商社ビジネスの将来像を探っていくことにしよう。