マスコミが「ソフトな反対派」を無視するシンプルな理由

 では、なぜマスコミは、この内閣府の世論調査に存在する24.4%の人々の意見をガン無視して、「賛成42% 反対派上回る」などと、あたかも世間が選択的夫婦別姓を圧倒的に支持しているような報道をしたのか。

「うっかりしていた」、「『通称を使えるようにする法改正』は厳密には、選択的夫婦別姓ではない、という庶民は理解できない強いこだわりがあった」……などなど、いろいろな可能性が考えられるが、筆者はズバリ、「選択的夫婦別姓導入は正しいことなので、なんとかそっちに世論を誘導したい」という狙いがあったからだと考えている。

「中立公正なマスコミ様がそんなインチキをするわけがないだろ!」と不愉快になる方も多いだろうが、この調査をさらに深掘りしていくと、そういう結論にならざるを得ない。

 例えば、この調査では選択的夫婦別姓についての国民の意識をさら詳しく探ろうと、この制度が導入された場合、夫婦でそれぞれ婚姻前の名字を名乗ることを希望するかを質問している。

 すると、支持をすると回答した人を上回る47.4%が「希望しない」と回答。「希望する」と回答したのは19.8%と「希望しない」の半分以下となった。賛成はするが、いざ実際にこの制度を自分事として望んでいるのは2割にも満たないのだ。

「世論の多数派は選択的夫婦別姓に賛成」を掲げるマスコミが目を背けたくなるような「不都合な真実」はまだある。「婚姻によって、名字が相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思いますか」という質問をしたところ、「違和感を持つと思う」は22.7%、「今までの自分が失われてしまったような感じを持つと思う」は8.6%と、マイナスに捉える方たちは確かにそれなりにいる。

 が、実はそれ以上に多いのが、「新たな人生が始まるような喜びを感じると思う」(41.9%)、「相手と一体となったような喜びを感じると思う」(31%)とポジティブに捉えている人たちである。もっとストレートに言ってしまおう。この世論調査で浮かび上がったのは、制度としての夫婦別姓に「賛成」を表明する方もかなりいるが、いざわが身に置き換えてみると、「夫婦同姓」を支持する方たちの方が多数派という事実なのだ。