本当に正しい資産形成こそ
地味で長い時間を要する

 金融の世界って、めちゃくちゃ細かい話がいっぱいあるのです。そしてそもそも資産形成を教えてくれる人は私以外に世の中にたくさんいて、みんな違う方法を教えます。だからセカンドオピニオンを求めるようになると必ず混乱します。

 とはいえ、結局のところ私も友人のために親切でやっていることなので、口論してまで自説を主張する気はありません。そんなことから、結局のところ、私の周囲では米国株インデックス投資を堅実に始めた人はまだ数えるほどしかいないのが現状です。

 ただ本当にこの話、この先にはウサギと亀の寓話通りの話になるはずです。仮想通貨にFXにIPOと、世の中には楽してあっという間にお金を儲けるウサギさんコースの資産形成アドバイスが賑わっています。人気があるのはこちらのコースですし、何より教えてお金になるのもこっちのコース。毎回教えるアドバイスが違ってくるのでお金になる。

 でも、本当に老後資産が形成できるのは地道に若いうちからしつこく続ける亀さんコースなのですが、こっちのコースは地味にコツコツなので人気がないのです。考えてみると論理的に正しい資産形成理論が成立する理由は、世の中に亀さんの数が圧倒的に少ないことが成立前提になっているのかもしれません。

 資本家の側にまわって、金に金を稼がせて自分の老後を守る。この戦略が成立する前提は、大半の労働者がこの簡単なことを実行できずに、結局のところ資本家に利益を吸い上げられていくからでしょう。アメリカの平均株価が120年間上昇し続けている最大の理由は、そこに搾取される人々が存在し続けるからだという残酷な真理が、今回の投資教室開催を通じて私にもわかった気がします。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)