「2019年には『西洋菓子舗 不二家』という、創業当時の不二家洋菓子店をオマージュした新業態店舗をオープンしています。復刻企画なので我々ベテラン社員の思い入れも強かったのですが、『懐かしい』だけで終わってしまってはもったいない。そこで、若手チームの意見も取り入れ、単に昔を再現するだけでなく、陳列やディスプレーには若い世代に刺さる要素をちりばめました」

 レトロなテイストは若い世代のなかでも人気だ。発売当時のミルキーの復刻パッケージなどは、シニア層には幼少期の「懐かしさ」を、若年層には今までにない「新しさ」を感じてもらえる。歴史と伝統を守りつつ、流行も押さえた新業態店舗を生み出しているのだ。不二家は時代に合わせて革新を続けてきたからこそ、明治から令和まで、110年間も愛される企業として存続し続けているのかもしれない。

「ベテランは『物を作る』という考え方ですが、若い社員は、作った商品が消費者の手に渡ったあと、SNSや友人との間でどのように話題になるのか、盛り上がるのかというところまで考えています。『話題を作る』『トレンドを作る』という考え方は、若い世代ならではですね。ネットの反響を想定したアイデアや、情報収集の早さなどは、若い世代にしかない武器といえます」

 コロナ禍に新業態店舗として登場した「milky soft cream」と「milky70 since1951」は、緊急事態宣言の影響を受けつつも、売り上げは好調だという。

 両店は共通して、「ミルキー」をベースとしたソフトクリームを主力商品として扱っているため、夏になれば、さらに売り上げも伸びるはずだ。くわえて、どんな新商品が出てくるのかも、気になるところ。きっと、新旧どちらのファンでも楽しめるような商品が出てくることだろう。