実験による研究ではまず、認知や記憶などにとって重要な部位である脳の海馬の細胞を培養。それに、オメガ-3PUFAであるEPAやDHAで前処理を加えた上で、インターロイキン-1β(IL-1β)やIL-6、インターフェロンαという炎症性サイトカインを加え、神経新生やアポトーシス(細胞の自死)への影響を検討した。その結果、EPAやDHAの前処理を加えると、炎症により引き起こされる神経新生の減少やアポトーシスの増加が抑制されることが示された。また、これらの作用には、EPAやDHAの代謝産物もかかわっていることが明らかになった。

 次に、大うつ病患者を対象とする臨床研究が実施された。研究参加者は中国医薬大学病院(台湾)の精神科外来に通院している、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)が18点以上で大うつ病と診断されている22人。これを11人ずつの2群に分け、1群にはEPAを3g/日、別の1群にはDHA1.4g/日を3週間摂取してもらった。

 3週間の介入で、HAM-DスコアはEPA群で25.7から9.3へ、DHA群は23.4から6.9へと、双方とも有意に低下した。うつ病寛解の目安とされるHAM-Dスコア7点以下となった患者は、EPA群54.5%、DHA群45.5%だった。また、前記の実験で神経新生の減少やアポトーシス増加の抑制との関連が示されていた、EPAやDHAの代謝産物の濃度とHAM-Dスコアが逆相関することも分かった。

 後者の研究の結果について著者らは、EPAやDHAを摂取したことが、HAM-Dスコア改善の原因であると判断可能な研究デザインではなく、また用いられたEPAやDHAの用量は、魚の摂取量を増やす程度では達成できないほど高用量であるとし、性急な解釈に注意を促している。

 論文の上席著者であるKCLのCarmine Pariante氏は、「われわれの研究結果のみでは、食事からのオメガ-3PUFAを増やしたり、あるいは魚油サプリを摂取したとしても、炎症やうつ病を治療可能であるとは言えないことを、強調しておきたい」と述べている。その上で、「オメガ-3PUFAのうつ病に対するメカニズムは複雑だ。それらがどのように機能するのかを完全に理解し、かつ将来の治療法開発につながる確かな情報を得るには、さらなる基礎研究と臨床研究が必要とされる」と、現状を分析している。(HealthDay News 2021年6月18日)

https://consumer.healthday.com/sb-6-17-could-fish-oil-supplements-help-fight-depression-2653383384.html

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