Pさんが55歳時点で保有する
金融資産はいくら?

 ここでPさんが現在保有する資産を確認しましょう。金融資産額は円預金4500万円、米ドル預金3500万円です。さらに、今後予定されている資産としては、妻の個人年金(60歳から70歳まで年間70万円、10年間で700万円の給付)と、Pさんの退職金があります。相談文には「退職金が1800万円程度の予定」と書かれていますが、55歳での早期リタイアになるため1500万円で試算します。これらを合計すると金融資産は1億200万円になります。

 先述の通り、Pさんは早期リタイアする55歳までの2年間で、金融資産を1080万円増やすことができます。そのため55歳時点で保有する金融資産は、1億200万円+1080万円=1億1280万円になります。

 相談文にはPさんが早期リタイアした後、全く働かない“完全リタイア”を予定しているのか、アルバイトなどで若干の収入を得る“セミリタイア”を予定しているのか記載がありませんでしたが、今回は“完全リタイア”するとして時系列に分けて試算を進めていきます。

Pさんが65歳になるまでの全支出と
65歳時点で保有する金融資産はいくら?

 早期リタイア後(55歳以降)の教育費を除く支出が年間600万円で変わらなければ、年金を受け取ることができる65歳までの10年間で600万円×10年間=6000万円の金融資産を取り崩すことになります。

 ただ、来年には長女、4年後には次女も社会人になるため、毎月の支出額は減少するはずです。2人の娘さんが社会人になる時期と若干のずれがありますが、試算上は55歳の時に長女が独立すると考えます。長女の独立によってPさん一家の毎月の生活費が2割減になるとすれば、毎月の支出は40万円、年間で480万円まで減少することになります。

 Pさんが55歳の時、次女は大学3年生です。教育費があと2年間、合計200万円必要です。さらに、早期リタイア後は旅行などのレジャー支出も発生することが考えられます。その費用を月5万円、年間60万円とすれば、65歳までの10年間で600万円の支出が加わることになります。

 これらを合計して、Pさんが55〜65歳になるまでにかかる全ての支出を試算しましょう。4800万円(生活費)+200万円(教育費)+600万円(レジャー費)=で5600万円になります。この金額を保有する金融資産1億1280万円から差し引くと、65歳時点の金融資産額は5680万円になります。