65歳からの家計収支を試算
生活レベルを変えずに完全リタイアは困難

 ここからは、Pさんが65歳になってからの家計収支を試算します。

 65歳から夫婦で年間230万円の年金収入を予定しています。控除等を考慮すれば予定額=手取額になると推測されますので、65歳以降の年収は230万円で試算を続けます。支出額は月40万円、年間480万円とすれば、年間の赤字額は収入230万円-支出額480万円=250万円になります。

 これを65歳時点の金融資産額5680万円で割ると22.7年、87歳強で金融資産が底を尽くことになります。これでは心もとない上、試算ではこれからかかるであろう臨時費用も考慮していません。具体的には、給湯器、ガスコンロ、トイレなどのほか、テレビや冷蔵庫といった家電製品のリフォームや買い替え費用などです。

 Pさんは現在53歳ですから、家電類は少なくとも2~3回は買い替える必要があると思います。1回当たりの費用を150万円、買い替えが3回必要として450万円かかるとしましょう。また、生活費とは別にレジャー費も計上しておかなければなりません。これらの費用を考慮すれば、Pさんの金融資産は80歳になる前に底を尽く可能性も否定できません。

 簡易的な試算でも厳しい見通しになりましたので、早期リタイアをする際には相応の家計の見直しが必要になります。あるいは早期リタイア後は2~3年ゆっくりと休み、その後65歳までアルバイトやパートを行い、いくばくかの収入を得るようにしましょう。