Pさん一家の「家計見直し案」
月5万円の支出額&アルバイトで100歳超えまで安心

 Pさん一家はどのように家計を見直せば良いのか、いまから試算を交えながら解説したいと思います。相談文には早期リタイア後のライフスタイルの記載がありませんでしたので、早期リタイアできるようこちらで金額等を決めさせていただきます。

 まず、2人の娘さんが独立した後も月40万円の支出を続けるのはやや高額です。住宅ローンがないのですから、月35万円に減額しましょう。減額を開始するのは、次女が大学を卒業する57歳からとしましょう。ただし、レジャー費はそのままにします。そうすると1カ月当たり5万円、年間では5万円×12カ月=60万円の支出を削減できます。

 すると、57歳から年金の受け取りが可能になる65歳までの8年間で、60万円×8年間=480万円、金融資産の取り崩しが少なくなります。さらに58歳から年間100万円くらいの収入を得られるアルバイト、またはパートを行えば、65歳までの7年間で700万円のプラスになります。

 生活費が480万円減額となり、勤労収入が700万円加算されることから、65歳時点の金融資産額は5680万円+480万円+700万円=6860万円に増えます。この6860万円から各種家電などの買い替え費用450万円を差し引くと6410万円になります。

 その後、65歳以降の生活費を月30万円、年間360万円まで減額すれば、65歳以降の年間赤字額は、公的年金230万円-年間生活費360万円=130万円になります。

 65歳時点で手元にある金融資産額は6410万円ですから、6410万円÷130万円=49年間、つまり114歳まで金融資産が持つ試算になります。

 65歳以降もレジャー費を年間60万円、これを75歳までの10年間計上した場合でも金融資産額は5810万円、赤字額130万円で割ると44年強になり、109歳強まで大丈夫な計算です。レジャー費の計上を80歳まで5年間延ばすと、金融資産額はさらに300万円減額となるため5510万円に減少しますが、赤字額130万円で割れば42年強、107歳まで持つ試算になります。実際には、高齢になればなるほど生活費はかからなくなりますから、80歳までレジャー費を計上しても100歳超まで持つと思います。

 今回は早期リタイアの年齢を2年後の55歳で試算しましたが、生活費をダウンサイジングすること、完全リタイアではなくアルバイトやパートを行うという条件を満たせば、余裕を持って早期リタイアは実現できることでしょう。

 一方で、生活レベルをこのまま変えないのであれば、早期リタイアは難しいと考えられます。試算はあくまでも55歳で早期リタイアするための一つの方法として行いました。実際は、Pさんに見合ったリタイア方法をこの試算を基に考えてください。

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)