「トラック輸送された消音器が届いたら、フォークリフトで下ろし、吸入口と排気口をふさいであったプラスチックシートを外して、入荷がわかるよう写真を撮ります。自治体の仕事なので工程ごとに写真を撮って提出しなくちゃいけないんです。あとは工場に持って行って修理します」

 修理実務は別の会社に下請けに出されていた。消音器修理の実態を話してくれた社長の会社をA社、A社から修理を請け負った会社をB社として話を進める。

 さて修理作業だが、B社の工場に持ち込まれた消音器は円筒形の外装を真ん中から輪切りにし、吸音体と吸気口側、排気口側の2つの外装に分離する。この時使うのが「エアプラズマ切断機」で、中心温度が1万度にもなる超高温で溶かし切るという代物である。

「プラズマでの切断は高温と空気で内側から灰がバーッと出てきて、工場内で舞って大変だったそうです。出てきた灰で工場の床に敷いた鉄板がさびてしまったと後で文句を言われました」(A社社長)

 次に外装の内側に固定されたロックウール(岩綿)などの吸音体を取り外す。

「外装に溶接されたパンチングメタル(金属板を金型で打ち抜いて製造した金網)をグラインダー(回転式の研削砥石のついた電動工具)で削り取るのですが、振動しますから、かなり(焼却灰が)飛んでいたと思います」(同上)

 パンチングメタルに開いた無数の穴には焼却灰が詰まっていた。そこに作業員は頭を突っ込んで、グラインダーで溶接部分を削り切る。狭い場所での粉じん飛散作業なので、相当な曝露作業だった可能性がある。

 また吸音体を取り外した後の外装の洗浄でも、内側に付着した焼却灰が飛散した可能性があるが、この作業は最初の2つの作業に比べてそれほど粉じんが飛散していた様子ではなかったという。

 それ以降は取り外した部分を新しい部品に交換して溶接し直す。外装のみが再び利用され、それ以外はすべて新しくなっているというから、放射性物質への曝露が考えられるのは外装の切断とパンチングメタルの切断、洗浄作業、あとは焼却灰まみれの吸音体を廃棄するために運んだりする作業といったところだ。

内部被曝の可能性も

 B社社長に確認したところ、修理作業には延べ9人が関わった。外装の切断には作業員1人で半日、パンチングメタルの切断には2人で2日要したという。

 外装やパンチングメタルの切断作業は「粉じんが舞っている感じ。グラインダーの粉じんも舞うし、中のロックウールなんかも舞っていた」とB社社長も認める。

 A社社長も放射性物質による労働曝露の可能性を知らなかった以上、当然、その下請けであるB社社長は知るよしもない。B社を訪れた際に尋ねたところ、「えっ、放射能ですか」と驚いていた。

 上述した作業内容から、放射性物質の近くにいることによる外部被曝のみならず、外装やパンチングメタルの切断では作業時にかなり粉じんが舞っていたことから、作業員は鼻や口から放射性物質を吸い込んでしまう内部被曝の可能性もある。