言った言わないの押し問答もなくなる生活のデジタル化

 アナログ人間や高齢者にとっては煩わしい生活のデジタル化は、個人情報がダダ漏れになって監視社会を促進するのではないかという意見もあるが、メリットもある。それは担当者とのやり取りが減って無駄足を運ぶこともなくなるため、時間の浪費がなくなることだ。

 これまで中国はサービスが発達しているとは言いにくく、担当者によって対応が違う、前に手続きしたときと同じ方法で手続きができないといったこともあった。デジタル化が進んで、ネット上で手続きができれば効率的だし、言った言わないで担当者と押し問答をすることもない。これは買い物について同じことがいえる。店員の無愛想な対応を目にすることもないし、ボロボロのお札をつかまされてトラブルにならなくてすむ。

 友人の中国人ジャーナリストは「今の時期、現金は危険です。ウイルスが付いているかもしれないじゃないですか。WeChatでの支払いはそういう心配はありません」と、キャッシュレス決済はコロナ対策にもなっていると指摘した。

 コロナに絡めていえば、人が密集するところに問い合わせに行ったり、長い時間待ったりする必要はなくなる。元々「中国の手続きは一回で終わることがない」といわれてきた。手続きのやり方が変わっていたり、担当者によって対応が違うため、問い合わせのときには言われなかったものを要求されたりするからだ。人の密集しているところへ何度も足を運べば、それだけ感染のリスクは高まる。デジタル化はそういったリスクも抑えることができるのだ。

 また、買い物も、ネットスーパーがどんどん市民権を得ているため、実店舗にわざわざ行かなくてもよくなった。

 中国のコロナ対策は政府によるトップダウン型だけではなく、生活のデジタル化もコロナ封じ込めの重要な要素になっているのだろう。