その結果、この検査での全体的ながんのシグナル検出の感度(真陽性率)は、がんの種類とステージ(I~IV)を通じて51.5%であることが明らかになった。特異度(真陰性率)は99.5%であった。これは、対照群の中でのがんの誤検出率がわずか0.5%であったことを意味する。がんのステージごとの検査感度は、ステージIで16.8%、ステージIIで40.4%、ステージIIIで77%、ステージIVで90.1%であり、ステージが進むほど感度も高くなっていた。また、感度はがんの種類によっても異なっていた。具体的には、固形がんでは、スクリーニング検査ツールのないがん(食道がん、肝臓がん、膵臓がんなど)では65.6%、スクリーニング検査ツールのあるがん(乳がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がんなど)では33.7%であり、悪性リンパ腫や骨髄腫などの血液がんでは55.1%であった。さらに、この検査により、がん患者の88.7%で、がんが存在する組織を特定することができた。
Klein氏は、「がんによる負担を軽減するには、治療が成功しやすい早期にがんを発見することが非常に重要となる。今回の研究で得られた知見は、この血液検査を既存のスクリーニング検査と併用すれば、がんの検出方法、ひいては公衆衛生に非常に大きな影響を与え得ることを示唆している」と述べている。
この研究報告を受けて、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のチーフメディカルオフィサーであるJulie Gralow氏は、「わくわくする結果だ」と話しながらも、「ただし、がん死亡率の低下を最も見込める初期段階のがんに対する感度は低かった。この血液検査をがんの主要なスクリーニング検査手段とするには時期尚早だ」と指摘する。
それでもGralow氏は、「極めて致命的ながんの大半には適切なスクリーニング検査の手段がない。従来の検査にこの血液検査を追加することで、そうしたがんを、これまでより簡単にかつ早期に発見できるようになるかもしれない」と期待を示している。(HealthDay News 2021年6月25日)
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