たとえば、そのようなサイトでは、来訪時に自動的に表示されるパネル上に、単なる「承諾」を意味する“Accept”のほかに、“Managing Cookies”(クッキーの管理)というボタンが用意され、それをクリックすると“Cookie Preferences”(クッキーの設定)ダイアログが現れる。そして、サイト管理に必須となるもの以外の、マーケティングやパーソナライズ広告に結びつくクッキーはすべてオフにすることができるのだ。

 また、国内でも東京オリンピックの公式サイトや一部のメディアサイトなどは、アクセスすると同様の表示が行われている。

Android向けモバイル広告費が急増し、iOS向けが激減している意外な理由海外サイトのクッキー設定事例。プライバシー保護に関する意識の高い企業のサイトでは、クッキーに関するコントロールを来訪者に委ねるために、このようなパネルが自動的に表示される仕組みを採用しているところもある
東京オリンピック公式サイトのクッキーコントロール東京オリンピックの公式サイト。海外からのアクセスを考慮してか、同様のクッキーコントロールのための仕組みが採用されている
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 近年は投資家の間で、企業の財務情報のみならず、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3要素も考慮した上で行うESG投資が注目されているが、今後はここにセキュリティーやプライバシー保護の要素が付加されてくる可能性も大いに考えられる。なぜなら、それらをすべて満たしてこそ、長期的なリスクマネジメントができるサステイナブルな企業だと評価できるからだ。

 自社のプライバシーポリシーを明確に打ち出し、それがプラスとなるようにビジネスに結びつけていくことは、AppleやGoogleに限らず、あらゆる企業に突きつけられた課題なのである。