ワクチンについては個々人のアレルギーや病歴から「できれば打ちたくない」と考えている人が一定数います。ところが、会社から「ワクチンは打たなければならない」と業務命令が出て、それに従わないと「うちの会社を辞めてもらう」と言われる人が出始めました。

 介護の現場など、多数の高齢者と日常的に接触する職場で実際にそのような事例が出ていると耳にしました。会社の側は業務上必要だからという主張のようですが、私はこれは行き過ぎだと思います。ワクチンを打てない人が一定数いるからです。

 一方で未来予測の専門家としては、このような事案はこれから増加するとも予想します。コロナがまん延して緊急事態宣言が継続していると、真面目なビジネスパーソンであればあるほど「なんとかしなくてはならない」と使命感にかられて対策を検討する。真面目な人がどんどん規則を厳しくしていくことが予想されるからです。

 コロナ対策というものはどうしても人権と社会全体にとってよいことをてんびんにかけることになります。フランスではワクチン接種証明がないと外食できないことになり、パリジャンの中には急きょ、ワクチンを打たない派から打つ派にくら替えする人が続出したといいます。

 日本の人権抑制は、諸外国に比べれば緩いものです。ただ法的強制力を伴わないがゆえに、それだけではだめだという考えから、いろいろな場面でこのワクチンハラスメントのような行き過ぎ事例が出てくるわけです。