Teamsのユーザーが急速に増えていったのは、パンデミックの発生によりリモートワーク(在宅の働き方)を多くの従業員が強いられたためだ。米マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は、2020年4月に行われた同社四半期決算会見で「この2カ月で2年分のデジタル・トランスフォーメーション(DX)が起こった」と述べ、パンデミックによりリモートワーク需要などが高まり、デジタル化、いわゆるDXが急速に進展したという認識を明らかにしている。

米マイクロソフトCEOのナディア氏 Microsoft Cloudについて語る米マイクロソフトCEOのナディア氏 Photo:Microsoft

 Microsoft 365、Teamsだけでなく、今年の2月にはHR(人事)系のツールとなる「Microsoft Viva」を追加するなど、マイクロソフトはさまざまなSaaSを提供し充実させてきている。その最後のピースとなるのが今回発表されたWindows 365なのだ。

マイクロソフトが強力なSaaS製品をリリースし続けられる理由

 こうした生産性向上、DXを推進するSaaSツールを次々とリリースし、ユーザーを増やせる背景には、同社が「Microsoft Cloud」(マイクロソフトクラウド)と総称する、圧倒的なクラウドインフラストラクチャーを抱えていることがある。

 こうしたクラウドインフラストラクチャーは、データセンター(多数のサーバーから構成されるサーバー群を運用するための施設)を多数持つ必要がある。特にグローバルにサービスを展開するためには、世界各国の法規制などに対応する意味でも世界各国にデータセンターを設置する必要がある。しかし、データセンターの建設、維持には高いコストがかかるため、一般的なSaaSを提供するサービスプロバイダーは、「パブリッククラウド」と呼ばれるクラウドのインフラを委託されて運営しているサービスを利用する。

 マイクロソフトはこのパブリッククラウドのサービスである「Azure」(アジュール)を展開しており、顧客にクラウドのインフラを提供している立場だ。その市場シェアはAmazonが運営するAWS(Amazon Web Services)に次ぐ2位となっている(ちなみに3位はGoogleが運営する「Google Cloud Platform」、通称GCP)。