病床の“女帝”こそ「ブラックボックス」の中
「うつ状態らしい」との情報提供もあった

 逆に、都民ファの新人都議会議員が初めて議会質疑に臨む際、小池知事の特別顧問だった小島敏郎氏が都議の質問文を作成したとの疑惑が浮上した際には、法律上の仕組みを駆使して公開を阻止しようとした。

 自分に不利な情報は、徹底的に隠す――。これが小池知事の大原則なのだ(詳しくは、拙著『ハダカの東京都庁』(文藝春秋)を参照願いたい)。

 要するに、小池知事の言う「情報公開」とは、自分勝手なダブルスタンダードで成り立っているにすぎない。

 そして、今回の開示請求に対する結果である。確かに、病気入院というプライベートな事情が絡んでおり、開示請求になじまない側面もある。

 しかし、小池知事が入院した6月22日ごろ、新型コロナウイルスの1日の新規感染者数は400~500人前後で推移し、その後増加に転じて今に至る。東京オリンピックについて、有観客とするか無観客とするかの議論も大詰めを迎えていた。

 そんな状況の中、日本の首都を預かる東京都知事が、第一線から一時的にせよ離脱するという緊急事態が生じていたのだ。もっと丁寧に、そして正確に、自らの健康状態を都民に説明してしかるべきではなかったのか。「文書は残っていません」で済まされる話ではない。

 また病状に加えて、公務を代理した多羅尾副知事との間で、どのような指示命令系統が作用したのかは極めて重要である。これこそプライベートではなく、都知事としての公務の中核に関する問題だ。入院中の意思決定は一体どうなっていたのか、行政のトップとしてつまびらかにすべきである。

 こうした基本的な部分をブラックボックスの中に隠してしまい、明確な説明をしないから、やれ小池知事本人がコロナにかかっただの、いやペットロスらしいなどと臆測が飛び交うのだ。

 ちなみに、私は都庁のある管理職から「小池知事は軽いうつ状態のようです」と連絡をもらったが、本人がだんまりを決め込んでいる以上、事の真相は闇の中である。