毎年7月は低気圧が通過することで梅雨前線を刺激して集中豪雨となり、いずれも大きな水害が発生しているから、最も自然災害に注意しなければならないのが7月ということになりそうだ。

 もっとも、8月の猛暑、9月の台風を含めて、自然の猛威は年を追うごとに厳しさと激しさを増している。明確な因果関係はいまだ立証されてはいないものの、気象庁がスーパーコンピューターで解析した将来予測では、CO2などの温室効果ガスの排出が高いレベルで続いた場合、夏季に高温が続き、21世紀末にはほぼすべての地域および季節において1日の降水量が200ミリ以上という大雨や、1時間当たり50ミリ以上という強雨の頻度が増加し、ともに全国平均で20世紀末の2倍以上になるという結果が得られている。

 直接の原因とは指摘できなくても、このように地球温暖化によって自然災害が激甚化するという“法則”が成立しているのは明らかと言っていい。空気中の水蒸気は気温が上昇するにしたがってその飽和量が増加するため、地球温暖化によって気温が上昇すれば大気中の水分が増加し、気圧・気温の変化など何らかのきっかけで一度にまとまって地表に降り注ぐという集中豪雨になる可能性が高い。

国土交通省が
安全対策を公表したばかり

 このような状況下で、やはり今年も7月に大きな自然災害が発生してしまった。こうなると日本全国どこで自然災害が発生してもおかしくない状況だと言えるだろう。熱海の土石流のすぐ後には島根・鳥取でも線状降水帯が発生し、1時間に100ミリという記録的な豪雨が発生し、多くの土地が浸水しているから、日本は既に“自然災害大国”になってしまっているのは明らかだ。

 熱海で土石流が起きる4カ月前の2021年3月、国土交通省は「盛土造成地の安全対策を加速します!」と題して、次のようなステートメントを発表していた。