ちょっとトリッキーなクイズなので全問正解された方は少ないかもしれません。自信をもって正解された方はものすごく時事問題通なのだと思います。

 実はこの問題、3問とも正解は「×」です。

ペット需要はコロナ禍で増加しているが
犬の飼育頭数は減少・猫は微増

 ちょうど8年前に出版してベストセラーになった拙著『戦略思考トレーニング』の第1問はこんな問題文から始まりました。

「少子高齢化の日本では、いまや子育てする世帯よりもペットを育てる世帯の方が増加しています」

 その後、10年間で少子化が進んで2019年の推計では12歳未満の子ども人口は約1180万人です。一方で、犬だけの頭数は「全国犬猫飼育実態調査」の最新の数字では約850万頭。

「ずるい問題だなあ。犬猫を合計すればペットの方が多いのに、犬だけで問題を出したら×だなんて」

 と思うかもしれませんが、実はペットフード協会の推計によれば2010年のペットの犬の総数は約1190万頭でした。ここから数字が増加を続けていれば、当然、現在の犬の飼育数は現在の小学生以下の子どもよりも多かったはずなのです。

 ところが、犬の飼育頭数は過去10年間、一貫して減少しています。2015年頃に1000万頭を割り、先ほど述べたように直近では約850万頭まで減っています。かなりの減少ペースです。これが第2問の問題にさせていただいた最新事情なのですが、ペットとして飼われる犬の数は大幅に減っているのです。

 そのような状況下で2017年に起きたのが、犬と猫の逆転現象でした。実はペットとして飼育される猫の数は過去10年間、微増傾向にあります。状況的には、かつて圧倒的に数が多かった犬がいつの間にか大幅に数を減らし、緩やかに数を増やした猫にペット首位の座を明け渡してしまったのです。

 ここまでが、先ほどのクイズの正解が3問とも「×」だったことに関する説明です。

 事実はそうなのですが、「では、なぜそのような現象が起きているのか?」が、ペットの未来を占うためのポイントです。

 短期的には新たにペットを飼おうという人が激増している。一方で長期的にはペットを飼う人が減っている。しかも犬の方が顕著に猫よりも減る傾向がある。

 この不思議な現象を解明していきたいと思います。