本来は「ハイリスクなものは期待値が高い必要」

 最後に、余談であるが、学者が展開している投資理論の話を記しておこう。ハイリスク・ハイリターンという言葉の投資理論的な意味は「大儲けするか大損するかという賭けをするなら、期待値が高くなくてはいけない」である。投資家は慎重であるべきなので、確実な100円の方が、確率5割で得られる200円よりも好ましいと考えるべきだ、というわけだ。

 カジノや宝くじは、主催者のコストや利益を客が負担しているので、期待値はマイナスである。そうした「慎重でない人々の集まる世界」は投資理論の想定していない世界なのである。

 筆者はカジノなどギャンブルの存在は認識しているが、カジノなどより株式市場等の方が慎重な人が集まっているため、儲かる可能性が高いと考えている。そこで本稿はカジノなどについては触れず、株式などの投資に関して論じた。

 ちなみに投資理論によれば、リスクとは損をする可能性ではなく、儲かるか損するか不確実なことをいう。つまり、詐欺師に資金を提供すれば確実に損するからリスクはゼロだ、ということだ。もっとも、本稿は学者の論文ではないので、一般的な用語として損をする可能性をリスクと呼んでいる。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係がない。また、当然ながら投資は自己責任でお願いしたい。