つまり、人間には本来才能や能力の差があるのに、日本人は「みんな平等」であると考え、それを認めないというものだ。まさに「出る杭(くい)は打たれる」のだ。

 そしてそこから日本独特のねたみ意識が生まれる。「人間平等主義」のためねたみ意識が強く、「自分は自分。他人は他人」とならず、ワクチン接種への同調圧力もこうした意識と関係があるといっていいだろう。

 例えば、日本独特のねたみ意識として分かりやすいのは、日本で宝くじの高額当選者がゼッタイに名前を明かされることがないことだ。

 明かせないのは明かした途端に、「なんであいつだけが」という「世間」からのひどいねたみの視線にさらされるからだ。

「人間平等主義」からいえば、隣の人間が高額の宝くじに当選することは「平等」ではないことになる。

 これがアメリカだと、高額当選者は堂々メディアの取材に応じ、実名・顔出しでインタビューに答えたりしている。

 アメリカの殺人率は、日本の15倍程度で圧倒的に治安が悪い。私などはホントに大丈夫かと思うが、これで問題ないのは、「世間」がないためにねたまれず、まわりも「よかったね」で終わりだからだ。

「自分は自分。他人は他人」という自他の区別が、はっきりとついているのだ。

日本人の「意地悪」
経済の長期低迷の要因にも

 この点で興味深いのは、大阪大学経済社会研究所の研究グループが、日米のグループでお金を出資して道路などの公共財を造るゲームをしてもらい、プレーヤー同士がどんな行動をとるかで損得が決まるという実験を行った結果である。

 それによれば、日本人は他人が利益を得ようとして自分が出し抜かれることを嫌い、ただ乗りを許してはならないと考えるため、アメリカ人と比べると根っから意地悪な人が多く、自分が損をしてまで他人の足を引っ張る、と結論づけている。

 これに対してアメリカ人は、「相手は相手。私は私」と考えるという。しかも、日本の社会ではみんなで仲良く協力してコトに当たっているようにみえるが、協力しないと後が怖いからそうするのだという。

 実はまさにこの「意地悪」が、昨今の日本経済の長期的低迷の大きな要因ではないかと、最近では話題になっている。