レッドスターの車はワゴンタイプで、3列目の後部座席は取り払われていて、そこには大小のカメラや無線機の他に、用途の見当もつかない初めて見る機材がぎっしりと詰まった3段の棚があり、折り畳み自転車もありました。

 探偵の調査用車両の内部を初めて見た私はとても興奮しました。調査に使うのであろうたくさんの物であふれ返っていましたが、整理整頓が苦手なのか、機材のコードが絡み合っていて、とてもごちゃごちゃしており、掃除も苦手らしく車内はとても汚れていました。

 足元にはお菓子やお弁当のカスが散乱しており、小さなゴミ箱はギュウギュウでした。

 たばこの吸い殻も足元に散乱していて車内は臭いが染み付き、窓をウエットティッシュで拭くと黄色い汚れがベットリ付きました。きれい好きの私にはとても不快な空間でした。

 当初の待ち合わせは6時だったので、それまでは様子を見ようと思いましたが、車内のエアロスミスに耐えきれず、コンビニに入って朝ごはんを買い、食べながら車の外で待つことにしました。

いよいよ探偵として初出動
目的地まで再び眠るレッドスター

 6時になった瞬間、車に乗り込もうとすると、レッドスターはパッと起きて「早く乗って!」と強めに言い、私が乗り込んだ直後に車を発進させました。

 レッドスターは目覚ましのアラームもかけておらず、体内時計で起きたようでした。エアロスミスはいつの間にかボリュームを下げたエンヤに変わっており、私は心の中で「逆だろ!」と叫んでいました。

 移動中に話を聞くと、レッドスターは朝4時まで別の調査をしており、眠気覚ましにガンガンにエアロスミスをかけながら待ち合わせ場所に到着して、サイドブレーキを引いた瞬間、落ちるように寝てしまったそうです。

 しかしこういった状況には慣れているようで、短時間の睡眠でも数倍寝た効果が得られるという「ナポレオン睡眠ができる」と、しっかりとした声で言っていました。

 15分ほど走ったところにあったコンビニに立ち寄り、朝ご飯を買ったレッドスターは「運転代わって」と言い、私は運転席に座りました。