新人にしてみれば、質問するのも難しい

 オンラインで新人から質問するにも、十分に関係性が築けていない上司・先輩には気軽に聞くことができません。隣にいれば「縦結びになっているよ」とか「左右のひもの長さが違っているよ」などと、見て指摘をすることも簡単でした。しかし、目の前に相手がいない状況では指摘をするタイミングもあえて設定しなければ難しいことでしょう。

 誰がどこでうまくいかないと感じているのか、どうしたらうまくいくのか……ささいなポイントをタイムリーに伝えることができれば、一人で悩んで八方塞がりになる新人を救うこともできるでしょう。上司や先輩からしてみれば「そんなところで悩んでいたのか」と思うような、取るに足らない問題かもしれません。しかし新人からすれば、「もう少し丁寧に説明してくれれば分かるのに」「使っている言葉自体もよくわからないけど、いまさら聞けないし」などと、フラストレーションがたまる場合もあることでしょう。また、簡単な仕事であればあるほど、うまくできないことが本人の自信を失うことにもなりかねません。特に学生時代に優秀だった新人であれば、なおさら無力感を覚えることでしょう。

テレワークでどのように新人を育てたらいいか

 では、テレワークでどのように新人たちを育てていったらよいでしょうか?

 上司・先輩から「今年の新人たちは主体性がない」「自分から働きかける力がない」などという声をよく聞きます。これはテレワーク以前から変わっていませんが、オンラインで自主性や働きかけ力を発揮する方が難しいことでしょう。「今の若者は」と一くくりにしてしまっては、話が終わってしまいます。まずは、新人と話をするための場づくりがうまくできているか、個別のフォローが足りているか、この二つを振り返ってみましょう。

 テレワークでは、つい自分だけが忙しい状況にあるような錯覚を覚えがちです。自分の業務に追われ、余裕がないと思う気持ちもわかりますが、新人の育成が後回しになっていてはいつまでもその状況は変わりません。新人を早く戦力化するためにも、まずは関係構築から見直していきましょう。そのためにはコミュニケーションのための場づくりが非常に大切です。

 人は最初から本音を出しにくい生き物です。不安な気持ちや困っている状況にあったとしても、それを伝えるには相当勇気がいります。「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫ではありません」と答えられる新人は、まずいません。ほとんどの人は「大丈夫?」と聞かれれば「大丈夫です!」と答えるしかないのです。