ひろゆきが「プロセスは自己満足が9割」と語るワケひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。
29万部の大ヒットを記録しているベストセラー1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

プロセスは自己満足

 世の中は「プロセス」を重視しすぎていますよね。仕事をする「過程を見せる」「頑張りを評価する」って、本当はどうでもいいことです。

 僕は「4chan」の管理人をしていますが、一緒に仕事をしているエンジニアとは会ったことがありません。それでも、成果物を仕上げてくれて給料を払っています。その過程でいくら上手にやってくれようが、サボってようが、〆切より前倒しでやってくれようが、すべて「ちゃんとやった」という結果でしかありません。

 つまり、プロセスは自己満足なんですよね。自分で勝手にやって、自分で勝手に満足すればいい。でも、それを人に押し付けると意味が変わってきます。

「褒めないといけないの?」という誤解

「この料理は、100時間もかけたんですよ」と言われると、味がおいしく変わるでしょうか。先にプロセスを知るのと、後からプロセスを知るのとでは、かなり意味が異なってきます。

 実際に料理を食べてみて、おいしさを感じて、そこで初めて「これ、どうやって作っているんですか?」と、プロセスを評価する段階になります。逆に、先にプロセスを知ってしまうと、「なんかおいしい気がする」「あまりおいしくないけど、褒めないといけなくなる」という変な評価が生まれてしまいます。

 だから、第三者にとっては、「プロセスなんてどうでもいい」ということが前提としてあるべきだと僕は思います。

プロセスを押し付けるとき

 第三者にとってどうでもいいということは、つまり「自分にとっては意味がある」ということです。自分の満足のためには、大いにプロセスを磨くべきでしょう。でも、それを誰かに伝えるのは、ちょっと違うんじゃないかと思うんです。

 もし、自分が作ったものがあまりよくないときは、プロセスを押し付けるのもアリです。まったく流行っていない店でも、「大きなケガから復帰して頑張っているんですよ」というストーリーを見せつけることで、お客さんを獲得できるかもしれません。その人のモラルが試されますけどね。

 ただ、人の苦労話って、押し付けられると冷めるんですよね。うまい具合に噂として広まっていけばベストなんですが、自分からペラペラと語ると、「自慢話」になっちゃうんですよ。その難しさがありますよね。プロセスの9割は自己満足で、残りの1割は「勝手に噂が広まる可能性」として価値が残るというのが正しい感覚でしょうね。

 だって、世の中の広告や売り文句を見てみてください。「これだけ手間暇かけました」「これだけ頑張っています」という自慢話の押し付け合いじゃないですか。その難しさがあるから、プロセス推しはあまりよくないかと思っているんですが、みなさんはどう思いますかね?

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、29万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。