「ストレッサー」の対処法は「改善」だ。ここでは、「スピーチの練習をする」「他の人に代わってもらう」などが該当する。

 次の「認知」では、「受け止め方を変える」というアプローチが有効だ。スピーチを「上達する機会」「多くの人に自分を知ってもらうチャンス」などと、前向きに受け止める。

 続いての「情動的興奮」や「身体的興奮」には、リラクゼーションがいい。深呼吸やストレッチなどを行い、ストレス反応に対処する。

 ストレッサーには、コントロールできるものとできないものがある。取引先の相手にミスを何度も指摘されて怖くなり、苦痛を感じているとしよう。「改善」としては、ベテランの先輩に同行訪問してもらう、ミスを繰り返さないように丁寧に仕事をする、場合によっては担当を代えてもらうことなどが挙げられる。一方で、取引先の相手に、ミスを指摘しないようにお願いすることはできない。

 まずは対処できるものを明確することが大切だ。

◇ストレスの正体

 あなたが何かにストレスを感じたとき、本当の原因は別にあるかもしれない。

 営業担当者であるAさんは、上司から設定された営業数字目標に対してストレスを感じ、「こんなの無理だ」「全然やる気が起きない」と思っている。一方Bさんは、数字を自分で設定して、「これを達成したら、地域一番店になれる」と目を輝かせている。Cさんは「営業スキルの向上になるし、お客様とのつながりも広く持てる」と、上司から与えられた営業数字目標の達成に意欲的だ。

 Aさん、Bさん、Cさんの目標数字が同じでも、その数字にストレスを感じているのはAさんだけだ。その原因は、数字ではなく「納得感のなさ」にある。このような場合は、納得できる数字目標を設定できるように上司にかけあったり、達成して得たいことと得られることを一致させたりすることが改善のカギとなる。

 何がストレスの原因となっているかを、正確に把握しよう。