相手が上司の場合は、意見やアイデアを出し惜しみするわけにもいかないだろうし、書類作成で手を抜くこともできないだろうが、誰もが同じような目に遭うわけだから、そのうち評判は広まっていくものである。それに証拠を残すようにしておけば、もう我慢できないとなった際に、争う材料が手中にあることになるので、気持ちに余裕ができる。

 責任をなすりつけられるのを防ぐにも、証拠を残すことが欠かせない。たとえ口頭で指示を受けた場合も、念のための確認と称して、指示された内容を記し、「このような理解でよろしかったでしょうか」などと確認を求める。利己的帰属により、本人は自分が指示したことを忘れてしまうかもしれないが、確認メールが残っていれば、いざとなれば証拠を開示して自分の責任ではないと主張することもできる。

 もちろん、争いごとを起こすのは、日本的組織においては好ましくないが、いざというときに身を守る手立ては講じておきたい。えげつないことを平気でする人物の場合、上述のような認知構造のゆがみがあることを念頭に置いておき、あまり考えすぎて消耗しないようにしたい。相手の心理メカニズムが分かれば、ストレスの度合いも減るはずだ。