カタリーナ

カタリーナ 「今は支給開始日から起算して1年6カ月を経過する時点までが対象になるけれど、2022年1月1日から改正されるの。同じ病気やけがで働けない場合、『支給期間を通算して1年6カ月を経過した時点まで』が対象になるの」

恭子 「えーっと。意味がよく分かりませんが……」

カタリーナ 「たとえば病気がよくなって復職したものの、また再発して休職することってあるでしょ?今は、傷病手当金をもらい始めた日から起算して、復職した期間も通算するから、再発でまた支給を受けようとしても1年6カ月が経過したらもらえなくなってしまうの。それが『支給された期間だけ』を通算するようになるから、再発のケースでも安心よね」

恭子 「なるほど」

カタリーナ 「健康保険も使い方次第よ。お金のことはあまり心配しすぎないで。まずは恭子さんが笑顔でいることが、ご家族にとって一番の特効薬よ!」

<カタリーナ先生のワンポイント・アドバイス>
●傷病手当金は、健康保険の被保険者が次の全てに該当する場合に支給対象となる。
(1)業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
(2)仕事に就くことができないこと
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと
(給与をもらってもその額が傷病手当金より少ないときは差額が支給される)

●傷病手当金の支給額は休業1日あたり以下の方法で計算する。
【支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×2/3
支給開始日以前の被保険者期間が12カ月に満たないときは、次のいずれかの低い額を使用して計算する。
(1)支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均値
(2)前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均値

●転職して入社1年以内であっても、転職前後に協会けんぽに加入しており、離職していた期間が原則1カ月以内であれば、転職前後の標準報酬月額を通算して計算することができる。

●傷病手当金は、同一の疾病・負傷に関して、支給を始めた日から起算して1年6カ月を超えない期間が対象となり、1年6カ月経過後は、同一の疾病等を事由に支給されない。2022年1月から改正・健康保険法により、同一の疾病・負傷に関して、支給期間を通算して1年6カ月を経過した時点まで支給されるようになる。なお、支給期間の通算は、2021年12月31日において暦の通算で1年6カ月を経過していない場合に適用される。

●傷病手当金は、健康保険組合によって付加給付を設けている場合があり、法定給付に上乗せや支給期間が延長されることもある。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)