◆実行力を高めるための第一段階:決心
◇願うだけでは成功は手に入らない

「願えばかなう」といった類の自己啓発は、昔からよくある。ところが毎日自分が成功した姿を生き生きと思い描いてみても、実現しなかったという人が意外と多い。その理由について、プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授は、自信過剰ゆえの「計画誤信」と説明する。

 バラ色の未来を「イメージ」するだけでは、目標達成までにぶつかる困難を前にくじけてしまい、イメージの中に逃げてしまう可能性が高い。著者がカウンセリングをした人たちのなかにも、イメージが膨らみすぎて良縁を次々と断る人や、可能性のないビジネスで失敗する事業家、一攫千金を夢みて身を滅ぼした人は少なくない。

 望みを実現するには、成功への道を探し出す「ルート探索」が必須だ。また、それ以上に重要なのが、目標達成までに何をやり、障害物をどう乗り越えていくかをイメージする「プロセスの視覚化」である。これらの条件を満たさなければ、成功を手にすることはできないだろう。

◇反対側の足をかいていないか

 著者に相談に来た人のなかに、3度の離婚を経験して男性不信に陥った女性がいた。最初の夫は暴力で、2番目の夫はお酒で、3番目の夫は浪費癖で、それぞれ離婚にいたった。

 問題を抱える多くの人に共通しているのは、問題の原因を自分の外に求める点だ。相談に来たこの女性も、よくよく話を聞いてみれば、自分自身もお酒が大好きで、外見がよくて中身のない男たちを繰り返し好きになっていた。この「繰り返しのパターン」を変えないかぎり、根本的な問題は解決しない。

 韓国には、「反対側の足をかく」ということわざがある。問題の核心を正確に把握できず、意味のないことに注力する人を例えるときに使う。問題解決には、まず問題を認識したうえで、何を解決すべきかを正確に把握することが大事である。それをしないまま動いても、ムダなエネルギーを消費するだけだ。効果的な解決策を模索し実行に移せば、どんな問題も解決はたやすい。

◇切迫した切実な理由があるか

 大学を休学して勉強するも、公務員試験に失敗。それでもなお勉強に身が入らない――これはいったいどうしたことだろう。時間が十分にあると思うからダメなのか。意欲がないからなのか。あるいはボーイフレンドのせいなのか。