実はどれも正解ではない。変わりたいのに変われないのは、あなたが崖っぷちに立っていないからだ。いまは世界的スターとなったRAIN(ピ)は、かつて母親の入院費が払えなくなり、妹の世話もしなければならず、切羽詰まった状態にあった。しかも18回もオーディションに落ち続けていた。それでもなお挑むことをやめず、最終オーディションで合格を勝ち取った。

 人間は変化を嫌う動物だ。ゆえに失敗に伴う苦痛が小さければ、人はなかなか実践できない。成功している人たちは、自らを切迫した状況に追い込み、行動を変えている。これを「自己動機化能力」という。

 肝心なのは、現状から抜け出さなければならない「切迫」した理由と、なにがなんでも目標を達成すべき「切実」な理由だ。たしかに一生懸命に勉強する人よりも、楽しく勉強する人の方が成績は上がる。しかしさらに成績が上がるのは、切羽詰まっている人なのである。

◆実行力を高めるための第二段階:実行
◇「明日やろう」という病

 やるべきことを後回しするのは、あなたが心の中では「実行したくない」と思っているからだ。「食事の後でやろう」は「いまはしたくない」の裏返しであり、「結婚記念日からダイエットを始める」は「それまでは腹いっぱい食べよう」の裏返しである。

 また、すぐに実行するのは難しいものでも、なぜか後で実行するのは簡単に感じられることがある。これを「時間不一致現象」と呼び、先延ばししてしまう大きな原因となっている。

 成功する人たちに共通するのは、決心をただちに行動に移す習慣だ。彼らは「あとで」「明日」「いつか」と言うかわりに、「今日」「いま」という言葉をよく使う。すぐ実行するには、ただ「ぱっと」動けばいい。たとえば早起きできないのは、あれこれ考えるからだ。ピストルの音とともに飛び出すランナーのように、ただ「ぱっと」と起きればいい。