日本を待ち受ける厳しい世界
変化できない経営者は失格

「商売ナメんな!そんな簡単にできるならとっくにやっている!」「これまで代々受け継いできた商売だし、世話になっている取引先もあるのに換えられるかよ」という中小企業経営者からの大ブーイングが聞こえてきそうだ。

 筆者もクライアントに中小企業経営者がいるので、業態転換が簡単ではないことはよくわかっているつもりだ。身内や友人の中には、資金繰りに窮して会社をたたまざるを得なくなったしまった中小企業経営者もいるので、商売の厳しさも知っている。

 ただ、一方で、そのような厳しい世界だからこそ、「業態転換」に挑むしか道がないのではないかと強く感じる。

 従業員をフルタイムでひと月働かせても月収16万しか払えない事業というのは、残念ながら既にビジネスモデルが破綻している。これを改善する、もしくは根本から見直すのは経営者として当然の責務だ。その努力をしないで、従業員の賃金を抑えて利益を確保しようという経営センスの方が、よほど商売をナメているのではないか。

 さらにもっと厳しいことを言わせていただくと、時給930円を捻出できないほど追いつめられているのに心の底から「変わらなくていい」と思っているのだとしたら、そもそも経営者としての資質がない。

 経営とは「時代の変化」に対応をしていくことだからだ。

 例えば、日本は人口減少でこれから毎年、鳥取県の人口と同じくらいの人口が消えていく。技能実習生という「隠れ移民」を増やしてもたかが知れているので、内需は急速に縮小していく。これまで何もしなくても売れたものがどんどん売れなくなってくる。

 こういう厳しい状況なので、「業態転換なんてできるわけがない!」と開き直るような経営者が、これまで通り「社長」として会社に君臨して、従業員を低賃金でコキ使うことができるだろうか。できるわけがない。

 つまり、「変わることができない企業」は自然淘汰されていってしまうのだ。