国保加入の非正規雇用の労働者も
傷病手当金の給付を受けられる

 現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、国が定めた「指定感染症」となっており、治療にかかる一連の費用(検査、診察、医薬品、医学的処置、入院費など)は公費負担だ。原則的に患者の自己負担はない(高所得層は、一部負担金を求められる可能性もあるが、最大2万円程度)。

 ほとんどは、COVID-19に罹患しても、その治療費、療養施設の利用料などは公費で賄われるので、重症化し、入院が長引いたりしても医療費の心配はない。

 心配なのは仕事を休んで療養している間の生活費だろう。だが、COVID-19に罹患した場合は、(1)保険の傷病手当金、(2)国民健康保険に加入する被用者のための傷病手当金、(3)労災保険の休業補償給付などが利用できるようになっている。

 1 健康保険の傷病手当金

 COVID-19に罹患して仕事を休んだ場合に生活を支える資金として、真っ先に候補になる国の保障が健康保険の傷病手当金だ。

 傷病手当金は、病気やケガをして仕事を休んで、勤務先から給与をもらえなかったり、減額されたりしたときに給付を受けられる。

 会社員や公務員などの被用者(企業や団体に雇用されて働く人)が加入する健康保険では、傷病手当金は法定給付となっており、新型コロナに罹患して仕事を休んだ場合も給付対象になる。

 1日あたりの支給額は、平均的な月収(※)を30日で割った金額の3分の2で、連続して3日休んだ後の4日目から最長1年6カ月の間に、実際に休業した日数分が支払われる(22年1月からは、支給期間が通算1年6カ月に見直される)。

※傷病手当金が最初に支払われた支給開始日から連続した、休職前の12カ月の各月の標準報酬月額(月収)の平均。就職後すぐに病気やケガをして、休職までの期間が12カ月に満たない場合は、就職から休職までの標準報酬月額の平均額と、28万円(協会けんぽの場合。全加入者の標準報酬月額の平均)を比べて、少ないほうの金額を基に支給額を計算する。

 傷病手当金の支給要件のひとつが、「休業の理由が、業務外の病気やケガの療養であること」なので、COVID-19への罹患理由が仕事以外の場合は、こちらで給付される(仕事中や通勤途中の病気やケガは、後述する労災保険でカバーされる)。

 また、「労務不能の状態」であればいいので、入院や通院をしていなくても、自宅療養やホテル療養でも対象になる。仕事をできない状態かどうかは、原則的に主治医が判断するが、COVID-19については、感染拡大防止のために医師の診察を受けずに自宅などで療養している人がいる可能性もあるため、特例的に事業主が証明すれば給付対象になる措置が取られている。

 ただし、傷病手当金は、給与のように自動的に振り込んでもらえるものではない。自ら申請しないと給付を受けられない。利用する場合は、自分が加入している健康保険組合に相談して手続きする必要がある。