ワークショップで「世の中に感じるあなただけの違和感に名前をつけてください」という問いを出したところ、ある参加者は「スタートだけダッシュ!」を挙げた。これは、出社時間や会議の開始時間などのスタート時間だけは厳格なのに対し、終わる時間にはルーズだという違和感に名前をつけたものだ。

 また「アイコンコンタクト」という「名前」を挙げた人もいる。目と目が合うよりも、SNSのアイコンとアイコンで人と向き合い、つながるようになったことへの違和感を指した言葉である。

 違和感は、自分が自分に発するサインだ。湧き起こる違和感を素通りせずに、受け止めて、考えてみる。その上で、打ち手を考えて行動に移すのである。

◇不安や心配事を言い換える

 私たちは今、常に不安と心配事を抱えながら生きていかなければならない。そんな現代においては、自分の中に不安と心配事に関するルールを持っておく必要がある。イメージは、シェアハウスだ。自分の頭の中に思考の部屋が何部屋もあり、「希望くん」や「不安さん」も同居している。時に存在感を主張してくるネガティブな同居人と、解釈によって適度な距離感を保って付き合っていくイメージだ。

 原田マハさんの作品に、『独立記念日』という短編集がある。人との別れはさみしいものだが、それを「独立記念日」と言い換えたら、捉え方は変わるだろう。

 このように、不安や心配事のかたちが掴めない場合は、そのまま放置せずに、別の表現を見つけて居場所を与えてあげればいい。これが日常的にできたら、安心して、楽しい日々が送れるはずだ。

 不安・心配事を言い換える方法には2つある。1つ目は、「現状を前向きに言い換えて解釈する」だ。カードと同じように、物事には裏と表がある。不安や心配事を抱えてしまうと、その面しか見えなくなってしまいがちだが、そこには別の面が存在するはずだ。たとえば、恋人と別れてしまっても、その別れはそれぞれが独り身(ソロ)になり、ソロ活動を始動する独立記念とも解釈できる。

 2つ目の方法は、「未来を、その結果を前向きに想像して解釈する」だ。力を抜いて先へ先へとポジティブな思いを巡らせる。恋人との別れは、独り身になって新たな人と出会う機会を生み出す、運命の人と出会うためのステップとも解釈できる。ポイントは「その結果、どうなるんだろう?」と、先へ先へと考えてみることだ。