「開会式のはずなのに、なぜかお葬式のように見えてしまった」(白と黒を基調とした演出のことを指している、中国では白と黒はお葬式の色と認識されている)

「暗すぎる、ホラー映画を見ているような感じだ……。幸い、赤い制服のわが国の選手の入場でやっと明るい光が差してきた!」

「日本の文化だろうか。他国の文化を否定する気は毛頭ないが、これは奥深すぎて分かりません」

「リオオリンピック閉会式の最後に行った2020年の東京大会の“予告編”が素晴らしかっただけに、開会式に期待して楽しみにしていたが、正直この演出にはびっくり。がっかりした……」などなど。

 ただ中には、「日本はコロナが猛威を振るう中での開催で、1年の延期があったり、直前に担当者が不祥事で辞任したりとドタバタで、その苦労は容易に想像できる。苦境を乗り越えての開催なので、まず敬意を表したい」と理解を示す人も少なくなかった。

 それでも、「コロナでの開催が大変なことは分かるが、だからこそ明るい演出で世界の人々を鼓舞してもらいたかった」といったコメントが相次いだ。

 また、開会式に関して中国では、24日放送のTBSの番組に出演したビートたけし氏の映像が、中国語の字幕付きでSNS上で広く拡散された。彼は番組の中で「面白かったですね~。ずいぶん寝ちゃいましたよ。驚きました。カネ返してほしいですね。オレ、恥ずかしくて外国に行けないよ」と話していた。

 これには、「さすが名監督だ、的中している!」と多くの中国人が共感したようだ。

日本の開会式に期待していた中国人
楽しい「お祭り」を見たかった

 筆者の知人の中には、来日を機に日本のイベント演出の力に魅了され、開会式に大きな期待を寄せていた人も多い。話は15年ほど前にさかのぼる。筆者は仕事の関係で、「スペシャルオリンピックス(Special Olympics、略称SO)に関わってきた。SOとは、知的発達障害のある人の自立や社会参加を目的として、日常的なスポーツプログラムや、成果発表の場としての競技会を提供している国際的なスポーツ組織である。日本には、公益財団法人スペシャルオリンピックス日本があり、元マラソン選手で五輪メダリストでもある有森裕子氏が理事長を務めている。

 このSOの冬季世界大会が2005年にアジアで初めて開催されたのが、長野だった。その次の2007年夏季世界大会は中国上海市が開催都市となり、長野から上海への旗の引き継ぎ式を行うため、上海の政府要人をはじめ、中国からはSO関係者、マスコミ、イベント運営会社など数百人の代表団が来日した。