JR西日本は
赤字幅が半減

 続いてJR西日本だ。同社の第1四半期の売上高は対前年同期9.4%増の約2020億円にとどまった。JR東日本より回復が鈍かったのは、4月から5月にかけて大阪を中心に猛威を振るった「第4波」の影響と考えられる。なお、コロナ前の2019年度同期比では5割強の水準だ。

 営業費は同9.9%減の約2514億円で、営業損失は約494億円、純損失は約321億円だった。前年同期の営業損失は約943億円、純損失は約768億円だったので、赤字幅はおおよそ半減したことになる。

 同社は第1四半期決算の発表にあわせて、営業利益120億円、純利益30億円を目指すとした2021年度通期の業績予想について、コロナ影響の長期化を踏まえ、運輸収入の回復時期などを見直した結果、運輸収入は通期で1110億~1440億円低下する見通しだと発表した。この結果、コスト削減を上積みしても、2021年度は営業赤字940億~1290億円、純損失815億~1165億円に達する見通しとしている。

 収支改善策として下期から需要回復に向けて施策を追加するとしているものの、ワクチン接種が順調に進み、コロナ禍が終息したとしても、需要は感染拡大前の水準には戻らないと同社は見ており、今年10月2日のダイヤ改正で、近畿エリアをはじめとする各管内で利用の減少率が大きい日中時間帯を中心に、合計127本の列車を削減する計画だ。

 また同社の長谷川一明社長は今年2月の定例会見で、ローカル線の運営を見直し、LRT(次世代型路面電車)への転換や、廃止によるバス転換などを検討していく考えを表明している。首都圏を抱えるJR東日本、東海道新幹線を抱えるJR東海と比べ、経営基盤の弱いJR西日本では今後もローカル線を中心に鉄道事業の見直しが進められることになるだろう。