性被害者に限定した調査がさらに必要

 つまり、男性の性被害についての国による大規模な調査は最近始まったばかりといえる。被害経験があると答えた男性の割合は前回調査の1.5%から減っているが、傾向がつかめるほどのデータはまだないといっていいだろう。

 また、これは同調査の女性の被害についてもいえることだが、男性の場合は特に、被害経験者の母数(前回調査は23人、今回調査は17人)が少なく、その後の質問である「加害者との関係」や「被害の相談先」について傾向をつかめるほどの回答数が集まっていない。性被害に遭った人に対象を絞った調査が必要であり、そのためには各都道府県に最低1カ所設置されている性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなどと連携することが必須だと考える。

 被害を警察に連絡・相談した人は女性でも少なく(6.4%)、今回調査では男性は0%だった。警察の認知件数から被害の実態が把握できないことは明らかだが、一方で警察以外の専門機関に相談した人はさらに少ない傾向にあり、ワンストップ支援センターはもちろん、カウンセリング機関、民間シェルターなどの周知が必要だ。