低い期待値が不満を緩和する
引きこもりがちな中年男性の場合

 まず筆者である。都心近郊の片田舎に住んでいて、感染者数が少ないこともあってか住民はわりと皆のんびりとしている。しかし感染に対する警戒心や恐怖心は強いようで、「どこどこで感染者が出た」といった情報は瞬時に広まる。筆者は週に1~2回都内に仕事で行くので、近隣住民とはコロナに対する恐怖心がやや異なっているかもしれない、と感じたことがこれまでに何度かある。

 のんびりした土地柄からか市があまり力を持っていないからかわからないが、ワクチン接種の通知が7月下旬頃にようやく来て、それによると筆者が該当する40~49歳は8月末から接種予約が開始、接種は9月上旬から10月上・中旬の予定となっている。これはだいぶ遅い部類に属すと思われる。

 ようやく接種時期を知らされて、筆者がまず思ったのは「順当。さすがうちの市」であった。筆者は自分が住む市に対して、積極的な嫌悪や怒りの感情はないが、期待値が最初から低いので、市が何をしようとも「オッケー」と思えてしまう。

 加えて、これは個人的な事情だが、筆者が接種をあまり焦っていないこともあって、接種時期が遅くなっても不都合をたいして感じないのである。まず、片田舎で隠遁生活をしているので他人と会う機会がほぼなく、都内での仕事も移動は車で、ごく少数の身内と顔を合わせるだけである。たまに会う両親はすでにワクチン接種を済ませている。これらのことから筆者は自身の感染リスク、および筆者発信の感染拡大リスクが平均より低いのではないかとみていて、ならば他の、種々のリスクが筆者より高い人に優先的にワクチンを回してほしいとも考えている。

 同世代で筆者ほど引きこもって生活している人はなかなかいないと思われるので、庶民感情の大勢を占うにはあまり参考にならない特殊なケースかもしれないが、一応、一庶民の感情として紹介させて頂いた次第である。