お目当ての電車が通過するのと同時に、“ママチャリ”に乗った外国人と思われる男性が現れ、電車とともに自転車で現場を通りがかった。その男性を撮り鉄らの若い子たちが囲んで詰め寄り、そう罵声を浴びせていたのだ。

「あまりに怒っていたので、殴られちゃうのかなと思った。もし暴力沙汰になったら、すぐに止めに行くつもりでした」(同)

 このトラブルの様子を撮影していた人がいたようで、動画はネットで拡散された。

 動画によると、自転車に乗った男性は車両と並走しながら左手を上げ、カメラに向かって無邪気にポーズをとっていた。対して、カメラを構えていた人たちは激昂。「おいチャリ乗ってんなよ!」「どけボケ!」「なんだてめぇ?」「何やってんだよ」「ふざけんじゃねえ」といった怒号が夜の町に飛び交った。シャッターチャンスを逃した悔しさのあまりか、深夜にもかかわらず「ウアアアアア」と奇声を発する人もいた。

 そして、男性に撮り鉄たちが詰め寄り、「マジで、金だろ」「死ねよマジで」などと口汚い言葉を放った。男性は何も言い返すことなく、一方的に罵声を浴びていた。

 住民にとっては夜中に大声を出されるだけでも迷惑だが、安全面でも心配が残った。多くの人は車道に出て撮影し、しかもカメラのファインダーばかり見ていたという。

「そもそも中高生のような子供たちがこんな遅い時間に出歩いていて大丈夫なのか。親は何も言わないのかと心配になりましたよ。トラブル後に、怒って帰る人はいましたが、15人くらいは残っておしゃべりしてましたね。終電を過ぎる時間なので、ほとんどの人がレンタサイクルか、一部の大学生らしき人や大人たちはレンタカーでした。」(同)

 トラブルが起きた交差点は、撮り鉄たちにとって絶好の撮影スポットとなっている。11日、現場に足を運ぶと、カメラを手にシャッターチャンスをうかがう人たちの姿があった。車の往来が多く、警備員が2人、交通整理にあたっていた。時おり道路を江ノ電が通りすぎ、カメラを構える人たち。現場に歩行者用の信号機はない。

トラブルが起きた交差点トラブルが起きた交差点(撮影/飯塚大和)