世界には十人十色どころか無数の個性があります。しかし、今日は敢えて、世の中には二種類の人間がいる、と言い切ってしまいます。

【R.E.M.「オートマチック・フォー・ザ・ピープル」】<br />青臭く書生っぽく永遠の学生のごとき音楽を貫く

 第一の種類は、年齢を重ねるにつれて、青臭ささがなくなり、世辞に長けて何事によらず無難で、賢いオトナになる人間です。世の大部分は、こちらでしょう(決してネガティブな意味で言っているわけではありません)。

 第二の種類は、年齢を重ねても、青臭さく、世辞に疎く、物事に拘(こだわ)って周りの人々と摩擦を起こし、賢くなれない人間です。憎まれっ子世に憚(はばか)るを地で行く人たちです。年を食った少年少女、いや心の中が少年少女だと言っておきましょう。

 そして、何かしら新しいことを創り出すのは、心の中に永遠の少年少女がいる第二の種類の人間です。

 ロックの世界も基本的には、心の中が少年少女のままである人間で溢れています。とは言え、ロックは競争の厳しい世界です。若い頃の前衛的な音楽が周りに理解されず、売れずに忘れ去られたバンドが無数にあります。

 その一方で、若い頃は前衛的だったのにいったん売れると、いつの間にか保守化していって妙に品が良くなったり、聴衆に迎合して、商業的に成功するバンドも結構います。

 しかし、いつまでも前衛的なままで尖り続けて、オトナになるのを拒否した永遠の少年少女の如きバンドもあるのです。

 例えば、R.E.M.。

 と、言うわけで、今週の音盤はR.E.M.の「オートマチック・フォー・ザ・ピープル」(写真)です。