多忙な人でもできる食生活の改善とは

「このままではまずい」と思い、受診をされたのです。受診のいちばんの理由は「アトピーの悪化」でしたが、検査をするとやはり、典型的なヒスタミンタイプで、副腎疲労もありました。副腎疲労の方の特徴である、猫背で元気がない様子も見られました。

 多忙なサラリーマンや経営者の場合、食事指導をしても仕事上、なかなかコントロールできないものです。ところが、幸か不幸か、コロナ禍で外食は自粛。お酒もほとんど飲まなくなり、家での食事が増え、自分と向き合う時間もできて、少しずつ症状は改善していきました。

 夕食を家で食べるようになったことは非常によかったのですが、Eさんのような方は、朝食もオフィスで一人で食べることが多いものです。一人オフィスで朝ごはんを食べるという患者さんに食事内容を聞くと、多くの人が「コンビニでパンと牛乳」「コーヒーとドーナツ」などと答えます。

 朝食を食べないよりはいいだろうと思っているのです。Eさんも、「牛乳を飲んでおけば栄養的にはOKだろう」と思っていたそうです。そこで、パン食を米食に替えてもらい、「一人で食べるなら、せめてコンビニでおにぎりにしてください。○○家の牛丼でもいいですよ」とお伝えしました。

 また、ランチもラーメンやうどん、おそばなど、短時間で済ませられる、なおかつグルテンたっぷりなものばかり食べていたので、定食に替えてもらいました。多忙な方に、完璧な食生活をしろといっても難しいので、このようにできることから少しずつ実践してもらうのです。今のところ、皮膚は完全にはよくなっていませんが、かゆみは治まり、肌のトーンもだいぶ明るくなってきました。

 アトピーの人は、髪の毛がゴワゴワするという特徴があります。癖っ毛のようにウエーブができ、ボリュームが出て爆発したような感じになる方も多いのです。これは甲状腺機能の低下に伴うものです。Eさんの髪もそうだったのですが、髪の毛の質が格段によくなりました。