コロナ禍の若手で「ある意欲」が低下している? 上司が注視すべきポイントとはコロナ禍でコミュニケーションに課題を感じる上司は多い Photo:PIXTA

テレワークが当たり前の状況になる中、コミュニケーションの質やエンゲージメントの低下を嘆く声が高まっている。だが、リーダーはこの状況に課題を感じていても、部下やチームメンバーには危機感が伝わっていない可能性がある。コミュニケーションの問題は印象論で語られがちで、客観的に課題感が共有されづらいのだ。リーダーはこの問題をどう解決すべきなのだろうか。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

コロナ禍でコミュニケーションの質が低下
問題の深刻さが部下には伝わりづらい

「テレワークが日常化し、対面でのコミュニケーション機会が格段に減った」「リモート会議は実施しているが、カメラオフなので、もう何日も部下や同僚の顔を見ていない」「発言時以外マイクオフのリモート会議では、発言がめっきり減った」「チームの結束力が低下している」…企業の管理職からこのような懸念の声を聞くことが多くなった。

 中には、会議の冒頭で今日はカメラをオンにして会議をやろうと言ったら、「急に言われても対応できない」「カメラの調子が悪いのでオンにできない」と応じてもらえなかったと嘆く人もいた。そのため今度は、事前に、お互いの表情を確認しながら会議をしたいのでカメラオンで実施したいと言ったら、「回線の安定度を損なう」「プライバシーの問題はないのか」とこれも実現しなかったという。

 テレワークがチームメンバー間のコミュニケーションの質、ひいては、エンゲージメントを低下させてしまう。リーダーはこれを懸念しているが、メンバーにはその危機感が伝わらない。テレワークがリーダーとメンバーの断絶を増長してしまっている。

 この問題の深刻さがメンバーに伝わらないのは、コミュニケーションの質やエンゲージメントの低下が、リーダーの「印象論」でしか語られていないためだ。印象論で語っているうちは、人それぞれ見方が異なるという状況を乗り越えられないのだ。

 そのためには組織の変化を、データを踏まえて客観的に把握しておく必要がある。

次ページ以降では事例を挙げながら、コミュニケーションの質やエンゲージメントの低下に悩む上司が注視しておきたいポイントについて解説します。