最短で心配なのは、8月26〜28日に米カンザスシティー連邦準備銀行が開く「ジャクソンホール・ミーティング」だ。世界の中央銀行の要人らが集まるこの場で、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和の縮小(テーパーリング)を近く行う可能性を示唆することが懸念材料だが、まだ5%台半ばの米国の失業率を考えると、(おそらく)これを慎重に避けるだろう(予想に責任は持てないが)。その場合、株価はさらに上値を追う公算が大きい。

 米国株に主導される形での世界の株式の好調は、「もうしばらく」続く公算が大きいように思う。

今後の日本株にとっての
「3大リスク要因」とは?

 筆者が「予想家」であれば、株価に関して「強気」か「弱気」の一方を述べたところで話を終えるのが潔くて職業的にいい。しかし、肩書きとして「評論家」を名乗ることが多いので、今後に考えられる日本株のリスク要因として大きなものを三つ挙げておこう。

 最大のリスクは、米国の株価が大きく崩れることだ。金融引き締めが「示唆」されただけで暴落があり得るし、その際に日本株が巻き添えを喰わない可能性はほぼゼロだろう。

 次に、内閣支持率が低下している菅内閣退陣の可能性だ。この場合、後任の首相が「アベノミクス」の金融緩和に理解の乏しい人物になったり、財政再建に着手したがるような人物となったりする可能性が小さくない。

 筆者の理解では、次期首相の有力候補として名前がよく挙がる岸田文雄氏、石破茂氏、小泉進次郎氏の各氏に、その心配がある。特に重要なのは、次の首相が23年に予定されている日本銀行の正副総裁を決めることだ。この人事は、株価だけでなく日本経済の中期的な盛衰にも大いに影響する。

 3番目のリスク要因は、ワクチン接種が進んで経済再開が進行したときに、「景気は回復した」と言い募って財政再建のために増税しようとする、「緊縮の病」(発生地は財務省だろう)に政治家が感染することだ。官僚やエコノミストの誘導は巧みなので、注意が必要だ。

 経済が上向くことはいいことだし、いずれは上向くのだろうが、その時にこそ油断は禁物だ。

 なお、株価の上げ下げについてあれこれ述べたが、ほとんど全ての投資家にとって株式投資では、以下の三つが重要な心得だ。

(1)自分にとって適切な大きさのリスクの株式を分散投資の行き届いた形で持つ(インデックスファンドを持つのが簡単だ)
(2)「上げ相場にも、下げ相場にも、全て付き合う」つもりで長期保有するのが現実的な最善策であり、売り買いでうまく調整するのは難しいと心得る
(3)積立投資の仕組みを作った人は、たんたんと続ける

 読者の資産形成の成功を祈る。