税収は名目GDPとともに伸びるはずが…

 税金とは、所得や消費に課税するものだから、これらが増えれば税収も増える。名目GDPは、所得面から見ればすべての所得を合計したものだし、支出面から見ればすべての支出を合計したものである。

 支出の半分は消費だから、名目GDPが伸びれば、消費税も法人税も所得税も伸びるはずだ。このことを示したのが、下の図1である。コロナ不況に至る前までは、名目GDPが伸びれば税収が伸びるという関係が明らかである。ところが2020年度では名目GDPも名目消費(民間最終消費支出)も低下しているのに税収が増加している。

 名目GDPが伸びれば税収が伸びるという関係をさらに確認するために、横軸に名目GDPの増加率、縦軸に税収の増加率を示したのが下の図2である。図2に見るように、名目GDPの増加率が高まると、税収の増加率も高まるという関係が明らかである。この中で、2020年度は名目GDPが減少したのに税収が増加したという特異なことが起きていることが分かる。