消費は6%減でも消費税収が14.1%増加のなぜ

 雇用調整助成金、持続化給付金は、企業にとっては特別収入になる。労働者にとっては賃金を減らされたり解雇されたりすることが少なくなることを意味する。実際、2020年度の名目GDPが3.9%、消費が6.0%減少したのに、雇用者報酬は2.0%の減少で収まった。

 つまり、企業にとっては給付金を得たことによって利潤はあまり減らず、労働者にとっても所得があまり減らないということになった。個人所得税については、一部の人々は株高で譲渡所得が増えたのでわずかに所得税が増えた。また、一部の企業は外需や巣ごもり消費の恩恵を得たので法人税も増えるということになった。

 しかし、消費が6%減ったのに消費税が14.1%も増えたのは不思議なので、これについてもう少し考えてみよう。

 まず、消費税は2019年9月に8%から10%に増税されたので、19年度の増税は半分の6カ月分である。つまり、年度で考えれば、消費税は19年度に9%に増税され、20年度に10%に増税されたと考えることができる。

 20年度の消費増収は、消費が減少しなければ10÷9で11.1%増のはずである。しかし、消費が6%減少したので11.1%×(1-0.06)=1.044で4.4%しか増えないはずである。ところが消費税が14.2%も増えたのは不思議である。

 ただし、20年度には前年度に比べて政府の歳出は75兆円も増えている。75兆円が回りまわって2.4兆円の税収になって戻ってくるのは当たり前のような気もする。