純利益が最大だったのは東急の93億900万円。以下、近鉄グループホールディングス(GHD)の93億円、京急の約86億円、小田急の約73億円と続く。

 一方、純損失が最大だったのは西武ホールディングス(HD)の約89億円。以下、京成の約34億円、京王の約15億円、東京メトロの約12億円と続く。

 昨年度第1四半期は15社全てが赤字で、純損失も西武HDの約294億円を筆頭に、近鉄GHDが約240億円、東急が約203億円だったことを思えば、この1年で状況は大きく改善したといえるだろう。

業績改善の主な要因は
運輸セグメントの復調

 もっとも、今年度から国際的な会計基準に合わせた「収益認識に関する会計基準」が全ての大企業に適用されたため、厳密には昨年度と今年度の数値を比較することはできない。

 ただ、売上高と営業費については大きな影響を受けるが、利益については比較的影響が少ないとされるため、主に利益について比較して見ていきたい(例えば東急は、第1四半期決算の交通事業における影響を売上高で2300万円の減少、営業利益で1億7400万円の減少。生活サービス事業における影響を売上高で351億8800万円の減少、営業利益で8800万円の減少としている)。

 業績改善の要因としては、1回目の緊急事態宣言が発出され、ホテルやレジャー施設などが一斉に休業した昨年度同期の反動により赤字幅が縮小したというのもあるが、最も寄与しているのは運輸セグメントの復調であり、それをけん引しているのが定期外収入の回復だ。

 昨年度の第1四半期の定期利用者数は2019年度同期比で、首都圏で25~40%減、それ以外では20~30%の減少、定期外利用者数は軒並み50~60%の大幅な落ち込みを記録した。