宿泊機能やレジャー設備の充実が
世界の支持を集めた

 お台場大江戸温泉は同エリアでは珍しい、宿泊機能を持つ施設であったことも人気を集める一因になったと考えられる。カプセルホテル風の仮眠スペースでありながらワンランク上の個室空間を目指した「黒船キャビン」(男性専用)や、本格的な旅籠(はたご)をイメージさせる露天風呂付の特別室などを備え、さまざまなニーズに対応可能な柔軟性を完備。日本全国の旅行者はもちろん、外国人訪日客からも日本文化を楽しめる人気の観光スポットとして好評を博していたようだ。

 メインフロアとなる「江戸町エリア」では射的や手裏剣投げといったさまざまなアクティビティが楽しめ、さながら「終わらない夏祭り」の雰囲気を醸し出す。

 江戸の町並みのように軒を連ねるレストランでは本格的な日本料理からスイーツまでさまざまなグルメを楽しめる。「中村座」「辰巳」「深川」と伝統を感じさせるネーミングの大広間もイベント時以外は休憩スペースとして自由に利用でき、入場から退館まで素敵な夢を見せてくれる演出は尽きない。そんな素晴らしい体験を18年間与え続けてくれたのがお台場大江戸温泉だったのだ。

近年ではキャラクターコラボなど
新たな展開も

 特に近年の動向として特徴的だったのがアニメなどの人気キャラクターとのコラボレーションへの注力だ。『刀剣乱舞』『おそ松さん』『KING OF PRISM』といった女性層からの支持を集めるタイトルから、サンリオでは異例となる青年向けタイトル『SHOWBYROCK!!』、国民的ヒット作の『僕のヒーローアカデミア』『銀魂』、キャラクターコンテンツとしては『THE IDOLM@STERE』シリーズと比肩し得るほど急速に成長を遂げた『ラブライブ!』までと、そのラインナップは枚挙に暇がない。

 アニメ・漫画作品とのコラボ展開に力を入れていた直接の理由を今となって振り返ることは難しいが、やはり「日本文化の発信」を軸としていた施設であるからこそ、レガシーとポップカルチャーをつなげる意志があったのではないかと推察される。お台場エリアにほど近い東京ビッグサイトや東京国際展示場などで、多数のサブカルチャー関連イベントが開催されていたことを踏まえての選択でもあっただろう。

 その結果、イベント参加者の憩いの場として夏季・冬季と多大な集客を得ることはもちろん、施設への固定ファンを増やす切り口としても機能した戦略となったのではないだろうか。