イノベーションで理想が現実に変わるまでには
必ず「数年の時間差」がある

山口 インターネットって、不思議な時間差がありますよね。僕が、インターネットが出てきたときに一番興奮していたのは1990年代の後半で、その時は、ある種の夢として描かれていました。

 イノベーションって、常に短期的にオーバーシュートして、長期的には停滞するところがあります。2000年代の初頭に「ドットコムバブル」がはじけて、回線の問題や、みんなが高精細な動画を撮るデバイスを持っていないという理由で、現実に引っ張られる局面がきたと思うんですけど。

 それが、あれから20年たってみると、1990年代の後半に言われていた「ネットにまつわる夢」が、急速に現実化してきているなというのがありますね。

尾原 そうですね。今のお話は、「ガートナーのハイプサイクル」という理論でも説明できますね。ここで、以下の図を見てください。「ハイプ」というのは一時的に期待値が上がるところを指していて、ここに投資が集まります。

本当のイノベーションは、いつも遅れてやってくるワケGartner hype cycleを参考に、筆者作成

 だから、「どこにハイプがくるんだろう?」と言って、みんながワイワイする。これが緩やかな曲線になります。毎年、どのテクノロジーが上がっていて、どのテクノロジーが幻滅期に入ったのか?とみんなが気にするわけです。

 実はこの「ガートナー曲線」には、もともとの意味があるんです。