株式投資の期待値はカジノより高い

 しかし、バクチだから手を出すな、などと言うつもりは毛頭ない。筆者はバクチが好きで、株の短期投資を楽しんでいる。それは、カジノより期待値が高いからだ。

 カジノは、客の支払額から胴元のコストと利益を差し引いた額が客の受取額なので、期待値はマイナスなのだが、カジノは強欲な人を対象としているので、それでも客が集まる。

 しかし、株式市場の投資家は臆病な(慎重な?)人が多いので、期待値がプラスでなければ投資しない。「儲かる確率と損する確率が五分五分ならば投資しないが、確率が六分四分なら投資する」といった投資家ばかり集まっているわけだ。

 そうなると、儲かる確率が59%の投資案件は投資されずに放置されているので、少し勇気のある投資家(普通の投資家より臆病さがやや少ない投資家)は、簡単に期待値プラスの投資案件を手にすることができるのである。

 もっとも、投資初心者は自分で判断すると間違える可能性が高いので、注意が必要だ。株価が上昇を続けている時には「急いで買わないと」と焦って買い注文を出し、株価が暴落すると「この世の終わり」を懸念して狼狽売りをしてしまう、という初心者が多いからである。

 初心者は利食い(利益確定売り)が早すぎて損切りが遅すぎる傾向があるともいわれている。株価が少し上がると利益確定売りを出す一方で、株価が少し下がると「今売ったら損が確定してしまうから、売らずに株価が戻るのを待とう」と考えるわけだ。

 しかし本来は、買った値段にかかわらず「下がりそうなら売り、上がりそうなら持っている」のが正しい。特に、値下がりした株を持ち続けるのは続落のリスクがあるので、しっかり判断したい。

 何も考えずにサイコロを振って投資判断をした方が結果が良かった、といったことにもなりかねないので、初心者の間違えやすいところには、くれぐれも気をつけたいものだ。

 また、短期売買を繰り返すと手数料がかさむため、株式投資自体の期待値はプラスであっても、結果として手数料に負けてしまうという可能性も小さくない。手数料の安い証券会社を選ぶ、あるいは取引回数をある程度抑制する、といった工夫は必要であろう。