くれぐれも小遣いの範囲内で

 上記のように、株の短期売買は「バクチ」として楽しむものであり、大切な老後資金をつぎ込むべきものではない。カジノには小遣いを持っていくのであって、老後資金を持っていく人はいないだろうから、同様に考えたい。

 老後資金と小遣いを明確に区別するためには、口座を2つに分けるといいだろう。老後資金の口座は「投資信託の積み立て投資」がよいと思うが、その話は別の機会に譲るとして、短期投資を楽しむ口座は別に作るのだ。

 片方で利益が出て、片方で損が出た場合に確定申告が必要になるかもしれないが、大切な老後資金を不注意でバクチに注ぎ込んでしまうリスクを避けるためであるから、その程度の手間は惜しむべきではない。

 最後は余談である。巨大企業の株は、プロたちが活発に取引しているので、そこで利益を上げるのは大変なことだ。まさにバクチである。もっとも、小型株であれば、プロたちが売買していない銘柄も多いので、もしかすると掘り出し物が見つかるかもしれない。

 たとえば、地元のレストランチェーンで、最近客が増えて混んでいるという場合、その情報を持っている投資家は少ないだろうから、次の決算発表の時に市場予想を上回る利益が発表されて株価が高騰するかもしれない。そうした銘柄を探すのも、株式投資の楽しみの一つだ。

 もちろん、インサイダー情報を持っている場合の売買は厳禁だろうが、店が混んでいるというのはインサイダー情報には当たらない。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織などとは関係がない。また当然ながら、投資は自己責任でお願いしたい。