端的でわかりやすい
「007」の英語

 ライティング学習を進めていく上で重要なのはアウトプットとフィードバックだ。

「英文を書いてみたら自分なりに見返し、伝えたいことが伝わっているか、より良い表現はないか、冠詞などの間違いはないかをチェックしましょう。その後、できれば英語話者に確認してもらいフィードバックを受けられるとなお良いですね。文章を書けないようでは、話しても内容が薄く、聞き手が理解しづらいでしょう。まずはライティングを鍛えることを意識しましょう」

 また、今井氏は、リスニングもスキーマの獲得に寄与するとして、TEDや映画の視聴を勧める。

「話の展開がある程度予想できて、そのジャンルの語彙力があれば理解ができるようになります。TEDで興味のあるスピーチや好きなジャンルの映画の英語を聞き取り、文脈や用法を探求するのも良いでしょう。映画に関して言えば、セリフが短く、世界中の観客に伝わるようなわかりやすい単語が使われていることが多いアクションはよい題材かもしれません。特に人気映画『007』シリーズの『007スペクター』の脚本は素晴らしく、端的でわかりやすい文章なので参考になります」

 ちなみに試験対策用の録音教材は背景情報がほとんどなく、話の展開も予想しづらいので、試験勉強以外の目的のためには最も不適切で、リスニング力の強化には向かないそう。

 コロナによって自粛生活が続くなか、『独学大全』が大ヒットし、にわかに独学、独習ブームが起こっている。今井氏も「みずから学ぶ力は大事」だと語る。

「どんな技能でも、熟達者になるには知識をみずから探求し、発見する過程で『生きた知識を生み出すサイクル』を作ることが必要です。今回のスキーマを意識した独習法はほかの言語学習においても役立ちます。もちろん、アウトプットをせず、他言語で書かれた情報のみ知りたい人は、ここまでする必要はありません。ただ、高校生より高いレベルの英語でのアウトプットを求める人にとっては、実践してほしい学習法です」

 長らく続く自粛生活。そのなかで英語スキーマの獲得を目指してみてはいかがだろうか。