「トラブルの原因をきちんと取り除くことで、頭皮環境の悪化による薄毛や抜け毛は防げるはずです。セルフケアで重要なのは、洗髪の方法。皆さん、『どんなシャンプーがいいのだろう』とアイテム選びに目が行きがちですが、やり方を見直すだけでも頭皮環境を整えられますよ」

 中村氏が教える正しいシャンプーの仕方は、入浴前から始まる。

「髪を濡らす前に、柔らかめのブラシで髪をといてください。整髪料をつけていると髪が絡まってしまうことが多いのですが、絡まったまま濡らすと、引っかかりをとろうとして強く引っ張りがちになります。それが切れ毛や抜け毛につながるのです。また、ブラッシングによって頭皮の毛細血管が刺激され、血流が促進し、発毛・育毛の効果も期待できるので、ぜひ取り入れてみてください」

予洗いとすすぎを制するものが
健やかな頭皮環境を制する

 ブラッシングの次は、髪をしっかりとお湯で流す「予洗い」だ。

「軽く濡らしただけでシャンプーをつけても、整髪料や汚れが邪魔をして十分に泡立ちません。泡立ちが悪い場合にシャンプー剤を足す人は多いでしょうが、シャンプーの量が多すぎるとすすぎ残しも増えます。すすぎ残しは、頭皮のかゆみ、肌荒れ、嫌なニオイの原因に。予洗い不足は、百害あって一利なしなのです。『長すぎるかな?』と思うくらいの時間をかけ、頭の前後から、そして左右から、しっかりとお湯をかけて洗い流してください」

 予洗いを十分に行えば、それだけで7~8割程度の汚れは流せるという。泡立ちの良さにも関係してくる予洗いは、洗髪において非常に重要度の高い行為なのだ。

「髪のためには、お湯は38~40℃くらいが適温です。高温すぎると必要な皮脂まで溶け出してしまい、乾燥した部分を補おうと余計に皮脂が分泌されてしまうからです」

 満遍なく予洗いができたらいよいよシャンプーだ。量は、ショートヘアの男性であれば半プッシュ程度が適量だという。少なく感じるかもしれないが、予洗いで半分以上の汚れが落ち、髪にたっぷりと水分が保持できていれば、問題なく泡立つはずだ。

「シャンプー剤を手に出したら両手のひらに広げ、空気を含ませるように指の腹で地肌にやさしく押し当てていきます。『髪の毛』というより『頭皮』を洗浄するイメージで、頭皮全体をなでるように洗ってください。もし泡立ちが悪いと感じたら、シャンプーではなく水を足すといいでしょう」

 頭皮全体に泡が行き届いたら、しっかりと洗い流していこう。すすぎも、予洗いと並んでとても重要な行程だ。

「予洗いと同じように前後左右からお湯をかけ、泡を流していきましょう。ただし、シャンプー後は髪の状態がアルカリ性に傾いていて、キューティクルが開いています。摩擦が起きやすく、毛も動かしにくい状態になっているので、無理に動かすのはNG。ダメージを与えないよう、手のひらを頭部に沿わせるように当て、手のひらにためた水の中で洗う『ため洗い』をするのがおすすめです」