自動車レースに五輪は必要ありません。また五輪も、自動車レースを必要としていません。なぜそういった結論になるのか? まずは国際オリンピック委員会(IOC)の立場から見てみましょう。大前提として五輪は、現時点である意味で大成功を収めている大会と言って間違いありません。大会によって競技の入れ替えはあるにせよ、それはIOCとしては、若年層や主要スポーツに参加していない層に広くアピールできる新競技を追加するだけのことなのです。

東京五輪でのスケートボードPhoto:Abbie Parr/gettyimages

 そうしてこのたびの東京2020オリンピック競技大会では、若者を中心に人気の高い「スケートボード」や「サーフィン」、そして「スポーツクライミング」などの種目が追加競技となりました。一方、自動車レースのファンの多くは、ヨーロッパ、アジア、北米、南米に住む、年齢層の高い人々です。そして彼らは、現状のオリンピック種目にすでに満足していると考えられています。